ジョコビッチが暴いた「強制」の嘘?マスターズ1000制度に待った
ノバク・ジョコビッチが自身のSNSで、2026年シンシナティ・オープンへの出場を発表した。マスターズ1000の大会とはいえ、わざわざトップ選手が出場を“アナウンス”しなければならない――その事実が、今の男子テニス界に横たわる深刻な問題を浮き彫りにしている。
ATPツアーは、全9大会のマスターズ1000のうち8大会を「強制大会」と位置づけている。欠場した選手には罰則が待ち受ける。1大会欠場でボーナスプールが25%カット、2大会で50%、3大会で75%。4大会以上欠けばボーナスは一切もらえない。さらに年間ランキングにも響く。各マスターズを欠場すれば、その大会のポイントはゼロになるのだ。
エアコンなしで部屋を涼しくするならこの一台Airio Pro しかし、現実はまるで違う。辞書で「mandatory(強制的)」を引けば「法律や規則で義務づけられた」とあるが、ジョコビッチ、アルカラス、シンナーというビッグ3は、ここ数年、この“強制大会”を平気で飛ばしている。2024年、ジョコビッチがプレーしたマスターズ1000は8大会中たった3大会。2025年も4大会にとどまった。アルカラスでさえ、2025年は5大会しか出場していない。シンナーは2026年、ここまで5大会中4大会に出場しているが、全体の傾向は明らかだ。
ジョコビッチはツアー長期滞在による特例措置で一部免除されているとはいえ、最高峰の選手たちが「強制」を無視している現状は、制度そのものの形骸化を物語っている。トップが来ないなら、それは本当に「強制」なのか?
問題の根底にあるのは過密日程だ。もし選手が年間で四大大会、マスターズ9大会、ATPファイナルズを全制覇しようものなら、試合数は79に達する。ATP500、250、ユナイテッドカップ、デビスカップ、レーバーカップを加えれば、とても現実的な数字ではない。特にカナダ・オープンはウィンブルドン直後に開催されるため、多くの選手が敬遠しがちだ。ジョコビッチ自身、カナダ・オープンには2018年を最後に出場していない。
「マスターズ1000が多すぎる」という声は、単なる不満ではない。ATPは2028年からサウジアラビアで新たなマスターズ1000を追加する予定だが、それで選手の負担が減るとは思えない。むしろ、大会をローテーション制にして、年間6大会程度の1週間開催に絞れば、選手の健康にもツアーの質にもプラスになるという意見もある。しかし、ビジネスが絡む以上、簡単にはいかない。
結局のところ、ジョコビッチ、アルカラス、シンナーが「強制」を無視してでも四大大会に照準を合わせる限り、マスターズ1000の価値は揺らぎ続ける。罰則で縛るのではなく、選手が自ら出たいと思える大会運営こそが、ツアーの未来を左右するだろう。
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