船で4時間、離島から全国の舞台へ!五島・戸川良汰が掴んだ400m障害決勝
滋賀インターハイの熱戦が繰り広げられる中、一際目を引くランナーがいた。長崎・五島列島の福江島からやって来た、五島高校3年の戸川良汰だ。人口約3万人の離島から、全国決勝の舞台へ。その道のりは、決して平坦ではなかった。
「『離島だから』というハンデを認めたくない」
寝苦しい夜が、これひとつで快適にAirio Pro 戸川がそう語る背景には、船で4時間かけて大会会場へ向かう日常がある。練習環境も決して恵まれているとは言えない。しかし彼は、足りないものを数えるよりも、今あるものに目を向けた。山道や砂浜も立派な練習場に変え、自らの足腰を鍛え上げたのだ。
迎えた男子400メートル障害予選。ナイターに照らされた大観衆の前で、戸川は笑顔でスタートラインに立った。「もう、本当に光栄でした!県や北九州とは違った雰囲気で、場内の歓声、声援もすごく聞こえてきて。自分でびっくりしちゃうくらいすごい雰囲気でした!」と、その表情は充実感に満ちていた。
レースでは先頭から離される場面もあったが、最後まで粘りの走りを披露。記録は53秒36で組4着。本人にとっては望んだタイムや着順ではなかったかもしれない。それでも、この大舞台で全力を出し切ったことに、何よりの幸せを感じていた。
戸川が陸上を始めたのは小学6年生の時。父の勧めで体力作りのために始めた柔道の延長だった。周りの子より足が速かったという彼は、田んぼで鬼ごっこをして遊んだ幼少期を振り返り、「そのおかげで足腰も強くなったんだと思います」と笑う。
中学3年で全国大会(全中)に出場するまでに成長した戸川は、高校進学の際に島を離れる選択肢もあった。それでも、愛着のある地元で勝負する道を選んだ。
しかし、高校生活は決して順風満帆ではなかった。試合のたびに船で4時間かけて移動する環境に、心が「腐る」時期も経験したという。それでも彼は、そのハンデを言い訳にはしなかった。
「足りないものを数えれば不便が見つかる。今あるものを数えれば手段が見つかる」
この言葉こそが、戸川良汰というハードラーの生き様そのものだ。離島という逆境をバネに、彼は全国の大舞台で確かな爪痕を残した。その走りは、多くの人に勇気と感動を与えたに違いない。
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