常本佳吾、バーゼルで苦闘の1年…「無理をした」怪我連発の裏側
2023年夏に鹿島アントラーズからスイスのセルヴェットへ渡った常本佳吾。移籍1年目から右サイドバックのレギュラーを掴み、現地大手紙Blickに「スーパーリーグ最高の右サイドバック」と称されるまでに成長した。守備の強さ、運動量、ビルドアップの正確性——すべてを備えた彼が次のステージに選んだのは、スイスが誇る名門FCバーゼルだった。
バーゼルはリーグ優勝21回を誇り、2024-25シーズンには国内2冠を達成したクラブ。多くの選手がここから欧州のビッグクラブへ羽ばたいてきた。常本もその流れに乗るつもりで移籍を決断したが、待っていたのは想像以上に厳しいシーズンだった。
寝苦しい夜が、これひとつで快適にAirio Pro CL予選ではコペンハーゲンに敗れて本戦出場を逃し、ELでも結果を残せず、国内リーグも安定感を欠いた。シーズン途中には監督交代も行われたが、元スイス代表DFシュテファン・リヒトシュタイナー新監督のもとでも上向かず、最終的に5位に終わり欧州カップ戦出場権すら失った。
そんなチーム状況の中、常本自身も苦しんだ。筋肉系のトラブルが相次ぎ、特にELフライブルク戦では後半に負傷交代。プロ人生で最もケガが多かったシーズンになったと本人は振り返る。「相手に蹴られて仕方がないケガもあったけど、1回目と2回目は筋肉系のトラブルでした」
なぜそこまで無理をしたのか。常本はこう語る。「チームからの期待もかなりあって、『8割の状態でもいいからプレーしてほしい』とか『いつ復帰できるんだ』と言われることもありました。プロとして応えたい気持ちが強かった」。チームが苦しい時こそピッチに立ちたい——その責任感が裏目に出た形だ。
「もともとCLを目指してこのクラブに来ました。ELに出るために移籍してきたというのもあったので、自分自身もプレーしたい気持ちがすごく強かった。チームがうまくいっていなかったからこそ、なんとか貢献したいと思いすぎてしまった」と常本。
しかし、この経験を彼は決してネガティブにだけ捉えていない。「今シーズンはフルシーズンを通して戦い抜けるように、コンディション管理も含めてしっかりやっていきたい」。海外で1人でケガと向き合う難しさを痛感したからこそ、「精神的にはすごく鍛えられました」とも。
「このクラブはセルヴェットとは違って、ヨーロッパ全体から本当に注目されています。周りの選手たちの移籍を見ても、それは強く感じます。このチームでいい結果を出し続ければ、必ず次のステップアップにつながるという実感があります」
単なる復活ではない。フルシーズンを戦い抜く土台の上に、もう一度、欧州へ向けて自分の価値を証明する——常本佳吾の挑戦はまだ始まったばかりだ。
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