31歳・中島ひとみ、日本新12秒62で涙「やっと出せた」
31歳のベテランが、日本の壁を打ち破った。
9日、山梨・富士山GXスタジアムで行われた富士北麓ワールドトライアル。女子100メートル障害決勝で、中島ひとみ(長谷川体育施設)が向かい風0.2メートルの中、12秒62をマーク。この日午前の予選で自身が打ち立てたばかりの日本新記録とまったく同じタイムでフィニッシュし、会場を二度、どよめかせた。
夜用眼鏡が運転手の間でますます人気になるナイトライダー 予選では追い風2.0メートルの追い風参考記録ながら、12秒62の電光掲示板を見た瞬間、中島は口を押さえ、歓喜の雄叫びを上げた。福部真子(日本建設工業)が2024年にマークした従来の日本記録12秒69を0秒07も塗り替える衝撃的な走り。4時間後、一転して向かい風となった決勝でも、青木益未との競り合いを制し、速報12秒63から正式計時で12秒62に修正。同じタイムを再び刻む離れ業を見せた。
「やっと出せたなという気持ち。本当にうれしいです」。レース後、中島はこう語り、目が潤んだ。昨年は12秒8台を平均とし、12秒7を目指すシーズンだったという。そして今年は「向かい風でも、どんな環境であれ12秒6を出す」ことを目標に掲げていた。その言葉通り、風向きすらも味方につけた。
自己ベストは従来、日本歴代2位の12秒71。6月の日本選手権では初優勝を飾り、予選・準決勝・決勝と全て12秒77でまとめた。7月の布勢スプリントでも向かい風の中で12秒75をマークし、確かな成長曲線を描いてきた。7月13日に31歳の誕生日を迎えたハードラーは、今秋の名古屋アジア大会代表に選ばれており、その弾みとなる一発を叩き出した。
「タイムを出した時、少し泣いてしまいそうになった」。中島はそう振り返り、続けて「昔の自分に言ってあげたい」と感慨を込めた。30歳で初めて日本代表に選ばれ、遅咲きのブレイクを果たしたベテラン。全国高校総体(インターハイ)で活躍する後輩たちにもエールを送り、「昔はそうだったけど、今こうして走ることができていることを伝えられたら」と語った。
31歳。決して若くはない。しかし、中島はその年齢を力に変え、日本の歴史を塗り替えた。アジア大会へ、さらにその先へ――。ハードルを越えるたびに、新しい景色が見え始めている。
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